私どもができること

 

性能回復整備

 
医学の進歩は人生の望ましい終止符のうち方を、時として認めてくれないことがあります。 だがそれとは逆に、「エコ」が声高に叫ばれる時代の中で、なんと多くのクルマが寿命半ばで使い捨てられることでしょうか。 もっと悲しいことは、折角惚れ込んで手にしたクルマに「愛着」すら感じぬまま、次の新しいクルマに目移りし、代替えされる方が実に多いことです。
私どもアカエダモータースからの整備のご提案は、今風にひと言で言うなら、クルマ版「ロハス」。 クルマが本来の性能を維持しつつ、いついつ迄も家族の一員であり続けることを願ってのメンテナンスです。
 
電子制御のピンチヒッター
 
「最近のクルマは壊れない・・・・」よく耳にする言葉です。 ところが現実には、「壊れていることに気づかないだけ」のケースも意外なほど多いのです。
平和で便利な社会が、私たち人間の「五感」というセンサーを知らずしらず鈍らせているのかも分かりません。 もうひとつ気付きにくくしている原因もあります。
電子制御システムに組み込まれている「フェイルセーフシステム」、という緊急用プログラムがそれです。 エンジン・A/T・ABS・パワステなどの電子制御システムの重要な部品に異常が発生した時、コンピュータが自動的にどうにか走行可能な状態を確保してくれるシステムのことです。
不具合をおこした水温センサ。
不具合をおこした水温センサ。小さな部品ですが大きな役目を担っています。 外見では、良・否判断はできません。
例えば、写真の「水温センサ」。 小さいながらもエンジン水温をコンピュータに知らせるとても重要な役割を担う部品です。 もし、この水温センサ内で「断線」の不具合が発生すると、「−40℃」という、まるでクルマが北極か、南極をでも走っているかのような、とてつもなく低い誤水温情報をコンピュータへ伝えます。さすがにコンピュータもそれはあり得ないと、ピンチヒッターとして「80℃」の水温をそれ以降は常時起用いたします。 これがフェイルセーフなのです。
ところがこのケースの場合、かかり不良、加速不良などの不具合症状が発生するのはエンジン冷間時のみで、エンジンが適温に達すると何事もないような正常な状態となります。 もし、お客様が警告灯の点灯に気づかなければ故障していることに気づかないこともあるのです。
もっともやっかいなのは「水温センサの特性ずれ」の不具合で、この場合は警告灯の点灯もなく、この小さな部品にダマサレ続けたままクルマを使う結果となるのです。 性能劣化に気づかないままに・・・・。
 
部品は・・・・チームワークです。
 
クルマは実に3万点以上もの部品により構成されています。 そして、その数は更に増える一方です。 その中でメンテナンスの必要な部品は大きく分けて2種類。
まずひとつは、クルマの走行キロに比例して少しずつ「摩耗」する部品。
もうひとつは、使用しなくても年数の経過と共に「劣化」していく部品です。
さらに付け加えるなら、前述の電子部品に多い「突然死」。 こちらは言わば故障の新興勢力・・・・といったところです。
これら性格の異なる部品がお互いに関わりをもちながら、「装置」を構成しクルマは動きます。 単独で仕事をする部品などひとつとしてないのです。
 
● 部品1/タイヤ
 
タイヤの中でも最も基本的なのが「空気圧」です。 パンクなど故障でなくても僅かずつ自然に空気が抜けて空気圧は下がっていきます。 もし、空気圧チェックをおろそかにし、低くなったままご使用になると、まずタイヤが偏摩耗し寿命を著しく縮めます。 また、パワステ装置には、カーブを曲がる時に抵抗が増えることで、より大きな負担を強いることとなります。 そして、パワステの動力は元をたどればエンジンから取り出していますので、エンジンも通常より余分なパワーを取られることになります。
つまり、「タイヤの空気圧の低下」ひとつで、タイヤの早期摩耗・走行性能悪化・パワステへの負荷増・そして燃費悪化など関連部位にいくつものデメリットが発生するのです。 何ひとつとして良いことはないのです。
ちなみに、空気圧が半分の状態で、1年間(1万キロ)走ると、ガソリン約100リットルが無駄になるというJAFのデータもあります。
メーカー指定の空気圧に調整されたタイヤ
指定空気圧の1/2に減ってしまったタイヤ
写真左が正しい空気圧。右はなんと!年間にガソリンを約100リットル無駄にする空気圧。
減っていることに、気づかれないお客様が意外と多いのです。
扁平率の小さいタイヤの場合、見た目だけではまず分かりません。
 
● 部品2/バッテリ
 
どのクルマにも必ず一つは付いており、クルマを使用する際まず一番に出番を迎える部品が「バッテリ」です。 実はこのバッテリ、公然の秘密の「三角関係」にあるのです。 相手は「セルモーター」と「発電機」。 ところがこの仲睦まじい関係をいまだにご存じない方が意外と多いのです。
イザ! エンジン始動という時、老化したバッテリはそれこそ満身の力をふりしぼり、有りったけの電気をセルモーターへ送ろうと頑張ります。 一方セルモーターはセルモーターで、健気にも届いた少ない電気で何とかエンジンを掛けようとします。 そのような始動のたびの無理がたたりセルモーターは早死にする結果となるのです。
もう一方の相手「発電機」との関係もバッテリの自己放電という言わば「電気のお漏らし」の量が増えればふえる程、それを補うため余分に電気を作ってバッテリに送らねばならず、こちらも仕事量が増え疲労が重なり、寿命を縮める結果となってしまいます。
つまり三角関係の中心的存在の「バッテリ」が良好でないと「セルモーター」や「発電機」などの高価な部品を傷めてしまうのです。
ところで、バッテリの寿命はセルモーターが回らなくなった時と、プロもお客様も勘違いしがちですが、実はそれよりもっともっと前にバッテリは交換時期をむかえているのです。
「たかがバッテリ・・・・されどバッテリ」なのです。
 
「バッテリ」と「発電器」、「セルモータ」の関係図
バッテリは劣化するほど、「自己放電」という電気のお漏らしが増えます。
すると、発電機は、多くなった自己放電を補うため、発電の仕事 が増えます。
一方、セルモータはエンジン始動に必要な電気がバッテリから届かなくなります。
つまり、バッテリが発電機とセルモータの両方をいじめることとなるのです。
 
● 部品3/ブレーキフルード
 
俗にブレーキオイルと呼ばれる液体です。 どうしても馴染まない間柄のことを「水と油」と表現しますが、それとは逆にこのブレーキフルードには「吸湿性」という自らの液体内に空気中の水分をも取り込む、他のオイルにはないチョッと変わった特徴があります。 実はこの水分こそが“クセ者”で、過酷なブレーキング時の「ペーパーロック」というブレーキがきかなくなる不具合原因となったり、ブレーキの油圧シリンダー内を錆びさせる元となるのです。
わかりやすく言うなら、正常なブレーキとは「ブレーキペダルの動きに忠実に従う四輪のブレーキ」と言えます。
ところが、水分を含み劣化したブレーキフルードを交換せずに使用し続けると、まず四輪のブレーキシリンダー内が錆びて動きがスムーズでなくなります。 その結果、ペダルを踏んだ時のブレーキのききが悪くなるばかりか、ペダルを戻した時もブレーキが完全に解除しなくなるのです。 このようにブレーキが少しきいたままの「引きずり」という状態で走行を重ねると、当然、「ブレーキパッド」や「ブレーキライニング」などが早期摩耗します。
予想外に早いパッドやライニングの摩耗に気づかずに乗ると、果ては相手の部品の「ブレーキローター」や「ブレーキドラム」まで傷めてしまう結果に至るのです。
このように、ブレーキフルードがブレーキ油圧シリンダーを、ブレーキシリンダーがブレーキパッドやライニングを、そして、ブレーキパッドやライニングがブレーキローターやドラムといったように「いじめの連鎖」がブレーキの中でおきるのです。
ブレーキフルードは空気中の水分を自然に吸収し劣化していきます。
ブレーキフルードは空気中の水分を自然に吸収し劣化していきます。
 
ピストンやシリンダー内が錆びて、動きが悪くなります。
水分を含み劣化したブレーキフルードを使用しつづけると、ピストンやシリンダー内が錆びて、動きが悪くなります。
こちらが正常な状態。
こちらが正常な状態。
 
ブレーキ油圧シリンダーの錆の影響で、早期摩耗したブレーキパッド。
ブレーキ油圧シリンダーの錆の影響で、早期摩耗したブレーキパッド。左の2枚は新品のブレーキパッド。
ご使用限度を超えたブレーキパッドにより、傷つけられたブレーキローター。
 
私どもアカエダモータースが手掛ける「性能回復整備」、その基本となるのは性能回復しなくても良い状態を常に保つための「性能維持整備」にあります。
それは何も難しいことではないのです。 「クルマはこわれない」という迷信のなかで売り手も買い手もが「低価格」を追いかけ過ぎたあまり、つい何処かに置き忘れてきた「クルマへの思いやり」を、今いち度取りもどすだけのことなのです。
 
 
 
現在地 | ホーム > 性能回復整備